コラム > 第五回 2008年の音楽生活総括

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みなさんこんにちは。この企画は既にブログにて行なったわけですが、やはりコラムにてしっかり残しておこうと思い立ち、このようにまとめることになりました。ちなみにランキング順と一番下の感想は、2009/01/04のブログ記事と同じ内容です。

*注:一昨年と同様に旧作だけのランキングとなっているため、恥ずかしいことにランキングの真似事と化しています。
    そういうこともあり、自己満足の格付けですので、興味のある方だけのぞいてみてください。




2008年に聴いた旧作Top20

1
Nowhere / Ride
Ride 「Nowhere」

シューゲイザーの代表作。"シューゲイザー"を調べ始めて真っ先に手に取ったのがこれ。
個人的に「Dreams Burn Down」の印象が強く、それにつられて他の楽曲にもどんどんのめりこんでしまい、結果的に年間通して聴いていた作品。おそらくこれからも聴き続けるでしょう。他のシューゲイズバンドと一線を画すサウンドを堪能あれ。
2
Yukari Telepath / Coaltar of the Deepers
Coaltar of the Deepers 「Yukari Telepath」

07年に発表されたCOTDの最新アルバム。電子音を協調させ、より音楽性に変化が見られた作品で、都会チックで空虚感漂う世界観がとても癖になる一枚。いつも通りの重層なギターサウンドに、少年のようなNARASAKIの声は相変わらず。
3
Whirlpool / Chapterhouse
Chapterhouse 「Whirlpool」

もっと早く聴いておけば、と後悔して下半期聴きまくった作品。中毒性が半端ではなく、何回も聴き込みたくなる名曲数知れず。特に「Guilt」は何回聴いたことか…。さらさらシュワシュワ…耳元を通り抜けるサウンドは心地よくて浮遊感溢れている。今まで聴いた作品の中で最もシューゲイザーの方程式に当てはまる作品。個人的にRideと並んで好きなサウンドです。
4
NO THANK YOU / Coaltar of the Deepers
Coaltar of the Deepers 「No Thank You」

「LOVE + DEATH = POP?」の帯が印象的なCOTDの作品。個人的にYukariと並んで傑作のひとつに挙げたい作品。ゴリゴリの攻撃的なシューゲイザーサウンド(?)が脳にずんずん響くが、ICHIMAKIとNARASAKIのかわいい声が見事なカオスを生んでいる。電子音も取り入れられ、まさにCOTDの集大成とも言える作品。

5
Souvlaki / Slowdive
Slowdive 「Souvlaki」

前作「Just for a Day」によりシューゲイザーシーンに飛び出した、バンドの2ndアルバム。名作であるにかかわらず、シーンの衰退により、とても不遇な扱いを受けている作品である。個人的には1stよりもこちらを推したい。
6
Sunkissed / Guitar
Guitar 「Sunkissed」

エレクトロ・シューゲイザーという新たな土壌を作り上げた、Guitarのデビュー作。しつこく同じフレーズを繰り返す手法はマイブラそのもの。余談だがGuitarのデジタル・ジョッキーことミハエル・ルックナーは哲学の博士号をもったドイツを代表する思想家。
7
Fine Lines / My Vitriol
My Vitriol 「Fine Lines」

01年に生み出されたMy Vitriolのデビュー作。ギターの滑らかで流れるようなサウンドとノイズとの対比が作り出す闇のような世界観がいい。このバンドのセンスはとても好みなのだが、これ以降全然活動していないらしい…。ファンは新作を首を長くして待っていますよ。
8
Spooky / Lush
Lush 「Spooky」

90年代シューゲイザーの代表作。4ADの耽美音楽性が最も出ている作品と言え、ギターサウンドを重ねたけたたましいサウンドセンスも内包。シューゲイザーを知る上でこちらも必聴。
9
True Color, True Lie / Hartfield
Hartfield 「True Color, True Lie」

ジャパニーズシューゲイズの申し子Hartfieldの1stアルバム。音の分厚さは他に類を見ないほどでビックリ。今後の国内でのシューゲイザーを支えてほしいと思わせるバンドです。7分を超える大曲「Stand by Me」は何回聴いても良い。
10
Substance / New Order
New Order 「Substance」

New Orderが87年に出したベストアルバム。入門編にはこの作品がばっちり。以前のシングルが時系列順に収録されており、それぞれのB面トラックがDisc2に収められている。
11
The Comforts of Madness / Pale Saints
Pale Saints 「The Comforts of Madness」

シューゲイザーの代表的なバンドのひとつがこのPale Saintsで、このアルバムはあの「Loveless」よりも早く世に出回った名作。もっとも、当時はシューゲイザーなんて言葉は存在しませんでしたが。
12
The Visitors from Deepspace / Coaltar of the Deepers
Coaltar of the Deepers 「The Visitors from Deepspace」

COTDのメジャーデビュー作。初期ならではのへヴィメタ調シューゲイズという摩訶不思議なサウンドに度肝を抜かれると同時に、惚れ惚れさせられる作品。未だにこの時期の音楽性を復活させてほしい、と熱望する声は高い。
13
Going Blank Again / Ride
Ride 「Going Blank Again」

Rideの2ndアルバム。前作とは打って変わり、幅広い音楽性を誇示させた作品。単純に彼らのポップセンスが素晴らしいため1stとためを張れる名作。こちらを支持するファンも数多し。
14
Cloudy Dreamer / OLIVIA
OLIVIA 「Cloudy Dreamer」

女性ヴォーカルの作品を聴きたいと思ったら無意識のうちに聴いていた、OLIVIAのミニアルバム。重量感のあるオルタナサウンドに彼女の美しくパワフルな歌声が気持ちよくマッチ。すばらしい作品だと思います。
15
A Strangely Isolated Place / Ulrich Schnauss
Ulrich Schnauss 「A Strangely Isolated Place」

シューゲイザーに強く影響を受けているエレクトロアーティストの2作目。この作品はGuitarの「Sunkissed」と並んでエレクトロ・シューゲイザーの名盤に挙げられることも多いです。
16
K / Kula Shaker
Kula Shaker 「K」

90年代中期のブリティッシュバンド、Kula Shakerがブレイクを果たした名作。サイケデリックなギターワークがカッコ良く、過去の偉大なバンドからの影響が見て取れる。
17
easy listening / 坂本真綾
坂本真綾 「easy listening」

OLIVIAとともになぜか聴いていた坂本真綾のコンセプトミニアルバム。耳にすんなり馴染む心地の良いサウンドと彼女の優しい歌声がたまらない。「Birds」はまさに名曲。
18
Out of the Angels / Amusement Parks on Fire
Amusement Parks on Fire 「Out of the Angels」

APOFの2ndアルバム。今やネオ・シューゲイザーの筆頭だが、フロントマンはシューゲイザーを知らずに音を作り上げたというから驚き。すなわち"天然系シューゲイザー"。
19
Treasure / Cocteau Twins
Cocteau Twins 「Treasure」

84年の作品。Cocteau Twinsの初期の代表作であると共に、バンドの方向性を決定づけた作品。サウンド面でのシューゲイザーへの貢献度は高いといわれており、現在も高い影響力を誇る名盤。
20
Road to Rouen / Supergrass
Supergrass 「Road to Rouen」

Supergrassの05年の作品。アコースティックでストリングスな音選びを中心とした、バンドの作品の中で最も渋くておとなしい作品。聴くたびに深みを増すそれぞれ楽曲からバンドの成長具合が見て取れる。彼らもずいぶん大人になったなぁ。



感想

ざっと昨年聴いていた旧作を並べてみましたが、統一感ばっちりですね。なんといっても私の08年の音楽生活の大半はシューゲイザーにとりつかれていたため、その追求に精を出した一年でした。反面、ホームページとブログの更新頻度は、非常にゆったりでしたが…。

2007年末から魅力を知ったシューゲイザー…。昨年はその流れから、シュー系統の音楽ばかり追いかけた一年でした。追いかけ始めたときからシューゲイザーという音楽には運命的なものを感じるばかりで、自分の肌に一番合う音楽をついに見つけた!という気持ちでいっぱいになっていました。
個々のバンドはそれぞれ、感情を表に出さないで無表情で黙々と演奏する様や、二番手・三番手のイメージが定着しそうな地味な立ち位置、さらには「しっかりしろ」、と怒られそうなほど物静かなヴォーカル…、そんな他のジャンルには無い素晴らしい魅力(クールさ)を内包していました。今後も間違いなくこの系統の音楽を追い続けるでしょう。

それに伴い、昨年は音楽のレビューもシューゲイザーの作品が大半を占めることになり、しまいにはコラムまで書いてしまう熱の入れようでしたが、このサイトをきっかけに多くの方々がシューゲイザーに興味を持っていただいたことが非常にうれしかったです。

Coaltar of the Deepersを多く挙げたことからも分かるように、今年は個人的にCOTDが大半を占めていた一年でもありました。シューゲイザーとメタルの融合、エレクトロニカの導入など、彼らの底知れぬ音楽性には今更ながら感心させられるばかりでした。3月に購入した「Yukari Telepath」にどっぷりとはまった事から始まり、それから過去作をいくつか聴いてどんどん彼らのサウンドに魅了されていきました。それにしてもYukari〜はホントによく聴きました。 購入した作品で特に印象的だったのは、夏の終わりに購入したChapterhouse「Whirlpool」と、COTD「No Thank You」。下半期はこの二作ばっかり聴いていたため他の作品の印象ずいぶんと薄くなってしまいました。特に「Whirlpool」は、今まで聴いてきた代表作の中で最もシューゲイズしていると感じた作品で、とても気に入っています。中毒性が半端なく、周りの視界が白い霧に覆われていくような錯覚は圧巻。リズムやコーラス、それらを優しく覆うギターノイズ…どれもが完璧な仕上がりだと思っています。近いうちにしっかりしたレビューも書く予定です。

他にもなぜかNew OrderとKula Shakerに興味を持ち出したり、その流れでマッドチェスター(Stone Roses、Charlatans)に興味を持ち出したり…。更にシューゲイザーの影響で、エレクトロ系やドリーミーなサウンドを追求するようにもなり、自身が今後出会う音楽の方向性がなんとなく見えたような気がします。

なにはともあれ、惰性といってはアレですが、この嗜好は09年に入ってもあまり変わらないと思います。そんな中でも、他のレビューサイト様のオススメする作品に手を伸ばしてみたりと、音楽の幅を広げていければ良いなと思っています。皆様、今年もよろしくお願いします。m(_ _)m