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日本の音楽シーンの裏で、現在もひっそりと良作を生み出し続けているCoaltar of the Deepers(以下COTD)。シューゲイザーをはじめ、スラッシュメタルにデスメタル、最近ではテクノ・エレクトロニカや民族音楽など様々なサウンドを積極的に取り入れ、本当に"ジャンル分け不可能"な独自のオルタナティヴ・ロックを展開している。
現在は邦楽のシューゲイザーバンドの筆頭と言われているが、それだけにとどまらない貪欲な音楽性はもっと評価されても良いと思う。
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1994 |
The Visitors from Deepspace |
1st |
1998 |
Submerge |
2nd |
2000 |
Come Over to the Deepend |
3rd |
2001 |
No Thank You |
4th |
2002 |
Newave |
5th |
2007 |
Yukari Telepath |
6th |
The Visitors from Deepspace
1.Killing An Arab
2.Amethyst
3.Your Melody
4.Earth Thing |
5.Summer Days
6.Snow
7.Blink
8.The Visitors |
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94年発表
COTDの1stアルバム。インディーズで数枚のEPを発表した後に、満を持して発表されたメジャーデビュー作。にもかかわらず、ファンの間で現在も尚人気の高い楽曲が本作には揃っており、とても濃厚で粒ぞろいな作品となっている。ひとたびライブで演奏されればファンのボルテージはぐんと上がること請け合いであろう、熱のこもった8曲が収録されたこのアルバム。バンドの代表作に挙げても問題ないだろう。
ほぼすべての曲が攻撃的で疾走感に溢れており、このバンドの初期衝動による暴走が凝縮されているかのようである。メタルとシューゲイザーがミックスされたような重層なギターサウンドを主軸に、テクニカルなドラミング等も手伝い、音が暴れまわるような雰囲気を感じ取ることができる。しかし、そんな中であっても冷静さを失わずに主張をするのが、クリアで滑らかなメロディ。そして、NARASAKIのつぶやくようなヴォーカル。ボソボソと歌う声でも、何かを訴えるには十分なほどの存在感を放っているし、時には野生的に叫んだりもしている。
キュアーのカバーでもある@は、原曲の面影がほとんどないが、ひたすら突き出される暴力的なサウンドからは、このアルバムの内容が伺える。その後AからDまでは名曲続きで休みなく突っ走り、Eで流麗なメロディのミドルナンバーで小休止。ラストを飾るGは音がぐちゃぐちゃで意味不明。…と、少ない曲ながらも緩急をつけたサウンド展開で、ただの荒いロックアルバムに終っていない辺りが彼ららしい。それにしても、94年の日本でココまで瑞々しくて迫力のあるサウンドを作り上げているバンドがいた、というのが驚きだった。今聴いても古さを感じさせない、ディーパーズ初期の傑作。
NO THANK YOU
1.IT DAWNS BEFORE
2.GOOD MORNING
3.JOY RIDE
4.STAR LOVE
5.15 KNOTS
6.GIANT
7.JET SET
8.THE SYSTEMS MADE OF GREED |
9.HIBERNATE
10.THE END OF SUMMER
11.NO THANK YOU
12.DREAMMAN
13.DEEPERS'RE SLEEPING
14.MEXICO(Ver.N)
15.HARU NO GYOUNINZAKA |
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01年発表
COTDの4thアルバム。前作から女性ヴォーカル&ギタリストであるICHIMAKIが加入し、独特なサウンドにさらなる彩りを加えたCOTD。彼女が引き続き参加している本作は、「LOVE & DEATH」がテーマに掲げられており、彼女の歌声をフィーチャーした#4「STAR LOVE」のような楽曲がとても印象的である。同時に狂気の轟音とも言えるバンドアンサンブルはさらに暴力性を増しながらも洗練されている印象を受け、この部分もいつも通り重要な位置を占める。
個人的に、延々と同じリフを繰り返すマイブラへの回答のような#3「JOY RIDE」を聴いたことがきっかけで本作を手にしたのだが、#4「STAR LOVE」や#6「GIANT」での轟音ポップ(?)や、#7「THE SYSTEMS 〜」のゴリゴリのヘヴィ・メタル、甘すぎる世界観でシューゲイザーの王道をいく#15「HARU NO GYOUNINZAKA」など、どの曲も個性が強いにもかかわらず聴きやすく、バラエティに富んでいる。アルバム後半に差し掛かると#10「END OF SUMMER」、#11「NO THANK YOU」など涙腺を刺激するほど切ない楽曲も現れる。今までも予測不能なサウンドを創りだしてきたが、こんなにも次は何が飛び出してくるかわからない、という振り幅の広さを感じさせた作品はないのではないか。
本作を聴いて、COTDにとって女性メンバーの加入による音楽性の拡大というのはとても大きなことだったと思った。事実、二作目となる本作でCOTDサウンドの領域を隅々まで使ったような本作を作り上げているし、ある意味、このアルバムで彼らの完成形をみたような感じである。三曲おきにアンビエント調のインストが収録されているが、コレがなければ疲れて最後まで通して聴けないかも知れない。それほど個々の楽曲のインパクトの強いアルバムである。甘い歌声とメロディ、そして狂気の轟音とのコントラストが冴え渡り、とてもポップに仕上がった快作。現在入手が困難だが、是非とも最初に聴いてもらいたい作品。
Newave
1.Downfall
2.Hyper Velocity
3.Without Hesitation Into Door Away
4.The Smooth
5.Prophet Proved |
6.Newave (featuring les yeux)
7.The Proof
8.Snow Again
9.Entreaty
10.Sweet Voyage |
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02年発表
COTDの5thアルバム。本作は94年の1st以来となるメジャーリリース作品(エイベックス)。前作は非常にポップでデスな作品となり、彼らの魅力が凝縮されたような素晴らしい作品であった。そんな前作を踏まえて新たなディーパーズを打ち出したと言えるのがこの作品。「Come Over to〜」以降、短いスパンで作品をリリースしてきたバンドは、本作で新たな方向性を見出した。
まずヴォーカルとして参加していたICHIMAKIが、前作を最後に脱退。それがバンドの方向性に影響を与えたわけではないと思うが、過去の作品と比べると非常に暗くておとなしい作風となっている。本作に収録されているどの楽曲も、言うならば海で大きく形をかえる"波"のよう。寄せては返す静と動の波が、アルバムを通して印象的で、まさに潮の満ち引きのように滑らかで荒々しい。寂しく鳴り響く轟音ノイズと、空気のように通り抜けるシンセの音を主体に、非常に穏やかなサウンドが海上のうねりを表現している。
その元気の無さと、波のうねりのような轟音ギターの絡みは、まさに一般的なシューゲイザーのそれである、と個人的に思っている。飛びぬけた名曲こそ無いものの、それぞれがこのアルバムを支え、作り上げており、バンドの作品の中でもずば抜けた統一感を放っているアルバムであると言える。とはいうものの、サンバのリズムと音色によるハイテンションな曲調のIをラストに持ってくるなど、相変わらずひねくれているバンドである。
Yukari Telepath
1.Introduction of Zoei
2.Zoei
3.Wipe Out(Retake)
4.Water Bird
5.Hedorian Foever
6.Aquarian Age
7.Automation Structurer
8.Interlude |
9.Lemurian Seed
10.AOA
11.Yukari Telepath
12.Carnival(Oumagatoki Mix)
13.Evil Line
14.Ribbon No Kishi
15.Deepless |
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07年発表
COTDの6thアルバム。前作から約5年ぶりとなった本作は、バックの重層なサウンドもさることながら、エレクトロニックなサウンドが強調されたことで、近未来的で落ち着いた雰囲気が漂っている作品。ただ、過去の作品に比べると、ノイジーで暴力的な部分が削がれている印象が本作にはある。それに加え、エレクトロニックなサウンドが極端に打ち出されたことで初期からのファンが戸惑い、賛否が分かれてしまった。――そんな中でも前半のABや、インダストリアル要素の強いLなどは、従来のCOTDらしさを継承した力強いサウンドで人気が高い。
実は前作で既に落ち着いた雰囲気を作り上げていたのだが、本作はそこへテクノの要素が大きく加えたことで全体が引き締まり、サウンドのイメージに立体感が増したように思える。水を思わせるエレクトロニカサウンドは儚くも美しく、明かりが消えた大都市や陰湿な深海、そこでうごめく社会が頭の中で勝手に創造されていく。虚しささえ憶えるメロディと世界観に、COTDのセンスを感じると同時に、楽曲ごとに様々な情景を映し出すサウンドからはアンビエント要素を感じたりととても奥深い作品となっている。
大きく音楽性をシフトさせた作品だが、相も変わらず様々なジャンルのサウンドを取り入れ、胸をキュンとさせる音楽に仕上げた彼らのセンスはなかなかのもの。特にシンセの音や、モノ悲しげに響き渡るNARASAKIのウィスパーヴォイスからは、寂しさや虚しさが滲み出ている。