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The Verveは、出した作品こそ少ないものの、後のUKロックシーンに多大な影響を与えたバンド。

初期といえば、ポップさと荒々しさが織り成すサイケなサウンド、所謂シューゲイザーに通ずるような部分があるのが特徴でした。しかし、一般的には「Urban Hymns」で聴ける、アコースティックな英国ロックが彼らのイメージとして浸透しているかと思います。リチャードアシュクロフトの温かみのある声は、バックの繊細な音に溶け込みながら、リスナーを包み込んでくれます。

そんな彼らは93年にデビューし、二枚の作品を発表した後に解散をしてしまいます。しかし、96年に再結成を果たし、97年に「Urban Hymns」という、UKロック史に残る傑作を生み出す。内容もさることながら、全世界で大ヒットを記録。一気にUKのトップバンドに躍り出るも、再び解散をしてしまいます…。今後の活躍が期待されていただけに非常に悔やまれました。

…が、07年に再結成を果たしたというニュースが!新作の発表も決定しているそうですよ。

Discography

1993
A Storm in Heaven 1st
1995
A Northern Soul 2nd
1997
Urban Hymns 3rd
2008
Forth~再生 4th
A Storm in Heaven
A Storm In Heaven
1.Star Sail
2.Slide Away
3.Already There
4.Beautiful Mind
5.Sun, the Sea
6.Virtual World
7.Make It Till Monday
8.Blue
9.Butterfly
10.See You in the Next One (Have a Good Time)
11.Endless Life *
12.Where the Geese Go *
13.No Come Down *
93年発表
The Verveの1stアルバム。名作「Urban Hymns」とはかけ離れたサウンドを繰り広げており、バンド初期の力強さが表れたサイケデリックなアルバム。いわゆる歌モノはほとんど存在せず、ひたすら音の波に身体を委ねていくような作品なので、「Urban Hymns」とは別物と考えてもらっても構わない。特徴はなんといってもニックが作りだす音の壁の如きギターサウンドと、反響する美しいメロディとの対比による、壮麗な世界観。もう一つは、もはやサウンドの一部と化しているリチャードの囁きヴォーカルである。 本作では厚みのあるサウンドとは裏腹に、静かな炎を湛えたバンドの心情を垣間見ることができ、 ブリッドポップというよりはシューゲイザーに近い。流し目で世の中を見渡すようなクールさがあり、タイプは違えど他の作品に劣らないアルバムと言える。

 この作品を聴いて連想するのが海岸。寄せて返すような穏やかな起伏をもった曲展開は、まさに波である。潮の満ち引きを足元で感じながら、砂浜から海の荒波ををぼんやりと眺めている・・・そんな様を連想させる。それはもはや海をイメージして作られのではないかと思えてくるほど。 もちろん聴く人によって印象は違うだろうが、美しい絶景が連想されることは間違いない。

先行シングルのAとGこそ馴染みやすい曲だが、他の曲は音を身体に染み込ませて恍惚に浸るような楽曲ばかり。書いたように大ヒットした「Urban Hymns」とは大きく路線が違うので、そこを理解して聴いてもらいたい。 同時期にブームになっていたシューゲイザーとの共通点を大いにに感じさせる作品であり、ヴァーヴの本質を知る上での重要作であると言えそうだ。
Urban Hymns
Urban Hymns
1.Bittersweet Symphony
2.Sonnet
3.The Rolling People
4.The Drugs Don't Work
5.Catching the Butterfly
6.Neon Wilderness
7.Space and Time
8.Weeping Willow
9.Lucky Man
10.One Day
11.This Time
12.Velvet Morning
13.Lord I Guess I'll Never Know *
14.Come On
15.Deep Freeze *
97年発表
The Verveの3枚目のアルバム。と同時に解散から再結成を果たしてからの復活作。まさか再結成を果たしたバンドが、こうも素晴らしい作品を作るとは予想もしていなかっただろう。そりゃあ名曲@が大ヒットして、その後ACHなどのシングルも立て続けにヒットすれば、おのずとアルバムへの期待はかかるわけで。ただ、そんなことを抜きにしても、この作品は素晴らしいのだけど。

とにかく@は是非聴いてもらいたい。終始バックで鳴り続けるヴァイオリンによるリフがとても印象的な曲である。ヒット曲(ACH)はアコースティックなサウンドが主だが、リビングに光が射してくるような…とても優しい曲に仕上がっている。印象的な曲といえばBMで聴ける、ザクザクとしたギターによる力強いロックナンバー。音楽の幅広さを感じさせる。

繊細で計算尽くされた美しい音使いはクオリティの高さを実感させ、Vo.リチャードの優しい歌声はバックの繊細な音に溶け込みながらリスナーを包み込んでくれる。大きな盛り上がりや衝撃的な部分こそないものの、アルバムを通して落ち着いた雰囲気を保っている。休みの日に昼間〜夕方にかけてこのアルバムを聴いていたらどんなに心地良いことでしょうか。