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イギリスで国民的な人気を持つバンドとして、素晴らしい楽曲を生み出し続けているTravis

Travisはブリッドポップ全盛期の97年にデビュー。当時は今の音楽性とは違い、荒々しいサウンドが大半を占めていた。当時こそブリッドポップの一派と捉えられていた彼らだが、2nd『The Man Who』から音楽性をシフトさせる。それは、メロディを際立たせた非常に内省的なもので、前作のサウンドを体験していたリスナーを驚かせることとなった。しかし今となってみれば、美メロで内省的なサウンドを鳴らすバンドとして一般に認知されているでしょう。

フランの語りかけるような優しい歌声や、ストリングを中心としたメロディ使いが素晴らしく、90年代頃のUKロックの中では抜きん出てた印象があります。辺りに雪を舞わせるような…すべてを包み込むような…そんな美しく優しいサウンドメイクは個人的にはかなりツボなんです。アルバムを重ねるごとに進化しているような雰囲気を漂わせ、衰えを感じさせない音楽性は見事。そしてTravisの登場は、以降のUKロックのイメージを完全に変えたのではないでしょうか。

Discography

1997
Good Feeling 1st
1999
The Man Who 2nd
2001
The Invisible Band 3rd
2003
12 Memories 4th
2007
The Boy With No Name 5th
2008
Ode To J.Smith 6th

The Man Who
The Man Who
1.Writing to Reach You
2.Fear
3.As You Are
4.Driftwood
5.Last Laugh of the Laughter
6.Turn
7.Why Does It Always Rain on me?
8.Luv
9.She's So Strange
10.Slide Show
99年発表
Travisの2ndアルバム。前作からの変化が大きく話題になった作品でもあり、彼らの出世作でもある。この作品は体を温めてくれる、まさに暖炉のようである。前作とは違い終始バラードや美メロによる、とても内省的な楽曲がそろっている。この作品の曲を聴くとなんだか救われたような…、悲しみを共感してくれているような…とてもセンチメンタルな気分に浸ることが出来る。

ヒット曲@は、サビでの感傷的な歌声が痛々しくも美しい。そして個人的にCからFまでの流れは素晴らしいと思っている。あとABは、Cまでの繋ぎのような立ち位置の楽曲だが、虚無感とメロディの良さが出ており、この作品の雰囲気をうまく表している楽曲だと思う。あと、個人的に一番好きな楽曲はF。Travisを好きになったきっかけの楽曲です。因みにジャケットも、アルバムの雰囲気が出てて良い。
The Invisible Band
The Invisible Band
1.Sing
2.Dear Diary
3.Side
4.Pipe Dreams
5.Flowers In The Window
6.The Cage
7.Safe
8.Follow The Light
9.Last Train
10.Afterglow
11.Indefinitely
12.The Humpty Dumpty Love Song
01年発表
Travisの3rdアルバム。前作で新たな方向性を見出した彼らは、本作でもそのメランコリーな音楽性を展開。全体を通してアコースティックなサウンドで統一されているのも特徴。

曲単位で言えば、シングル@Bは今までのアルバムの中でも最高の出来といえる。とても悲しそうな顔で歌うVo.が印象的なBときたらもう…たまらない。悲しくて胸がキュンとなる。このアルバムは、前半はモノ悲しい良曲が固まっていて、完璧とさえ思う。後半はアルバムの輪郭を形成するように地味な曲が並んでいるが、こういう部分にTravisの魅力を感じたりもする。ただ、尻すぼみしている感は否めない。

悲しそうに歌うフランのVo.とメロディが心に沁みんでいく作品。前半に負のオーラを感じつつも、アルバムの後半からだんだん明るくなっていく。そういう意味では、この作品はトンネルのようだ。
12 Memories
1.Quicksand
2.The Beautiful Occupation
3.Re-Offender
4.Peace the Fuck Out
5.How Many Hearts
6.Paperclips
7.Somewhere Else
8.Love Will Come Through
9.Mid-Life Krysis
10.Happy to Hang Around
11.Walking Down the Hill
03年発表
 Travisの4thアルバム。セルフプロデュースにより作られた作品だが、元々強かった陰鬱な雰囲気を色濃く表現したことで賛否両論が生まれた作品。その陰鬱さは内面や社会的な部分に強くベクトルが向かっており、終始切ない気持ちにさせられる。

  個人的に前作と前々作を聴いて印象的だったのは、現実逃避させるほどの美しい情景が終始浮かび上がっていたこと。それはまるで雪国に連れて行かれるようだったり、森林の紅葉を眺めているかのようだった。・・・しかし本作は、綺麗な情景を浮かび上がらせるような世界観が排され、我々の日常生活に急接近したような雰囲気を醸しだしている。聴いている我々の心境に共感し、共に悲しんでくれてるような楽曲の数々。人によっては親近感や安心感を覚えるかもしれない。おまけに曲のクオリティにムラを感じさせず、統一感をもってすんなりと聴き通すことが出来るのも強み。

  細かい部分で言えば、力強いギターサウンドが差し込まれたり激しい転調をみせたりと、曲の中で感情的な演奏も目立つ。いつも通り暖かみのある歌声を聴かせるフランのヴォーカルも、心なしか涙をこらえながら歌っている感じさえある。・・・などなど、本作ならではのサウンドを楽しめるが、とろけるような甘みがあった今までと比べると、苦味が強いので、初めてトラヴィスを聞く方にはあまりオススメはできない。

 そうは言っても、語りかけるように鳴らされる優しいサウンドは顕在なので、トラヴィスのイメージはほとんど崩れていない。そのため"深化"とも"変化"とも取れる作品と言えるだろう。このアルバムが傑作との声もあるので、トラヴィスが好きな方はもちろん、「陰鬱だけど暖かいサウンド」に興味を持った方は是非聴いてもらいたい。