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シカゴを拠点に活動していたオルタナティヴバンド。彼らは轟音ギターと美しいメロディで独特の世界観を作るという、他のバンドとは違うサウンドやオーラを放つバンドである。一曲一曲がとても壮大なスケールで、バラード曲は涙なしには聴けない名曲ぞろいだ。フロントマンのビリー・コーガンの個性的なヴォーカル。ジミー・チェンバレンの手数の多いドラムも聴き所。CDを聴くときはぜひとも音量を上げて聴いてもらいたい。

91年にアルバム『Gish』でデビュー。93年リリースした『Siamese Dream』は轟音ギターと美しいメロディーを駆使し、500万枚のヒットを記録。95年に傑作『メロンコリーそして終わりのない悲しみ』をリリース。二枚組みで壮大なスケールを作り上げたこの作品はスマパン至上最高の売り上げを記録。この後メンバーチェンジなどでサウンドが音響中心になっていくが、それでも高い支持を得た。その後2000年に解散。

ところが、先日、ビリーコーガンが自身のブログで「間もなく驚きの事柄が発表される……焦らないでで。待てば必ず良いことが訪れる。みんな、驚くのは嫌いじゃないだろ?」などと再結成をほのめかす発言をしていた。そしてついにSmashig Pumpkins再結成が正式に決まった。今年の夏に、レコーティングをすると公式HPで発表されている。うわさによると、06年内に新譜が発表されるとも言われているが?

そしてついに新譜『Zeitgeist』(ツァイトガイスト)が07,7/10にリリースされた。

Discography

1991
Gish 1st
1993
Siamese Dream 2nd
1994
Pisces Iscariot rare tracks
1995
Mellon Collie and the Infinite Sadness 3rd
1998
Adore 4th
2000
Machina / The Machines of God 5th
2002
Earphoria live
2007
Zeitgeist 6th
Siamese Dream
Siamese Dream
1.Cherub Rock
2.Quiet
3.Today
4.Hummer
5.Rocket
6.Disarm
7.Soma
8.Geek U.S.A.
9.Mayonaise
10.Spaceboy
11.Silverfuck
12.Sweet Sweet
13.Luna
14.Pissant *
93年発表
Smashing Pumpkinsの2ndアルバム。攻撃的かつ繊細で情緒的なメロディとサウンド、加えてトレードマークの轟音が織り成す、まさに今後のスマパンのイメージを決定づけた代表作。そんなバンドの魅力が詰まっている濃厚な本作だが、これをきっかけに世界的なロックバンドへと進化したということもあり、改めて重要な一枚である。

ビリーの完璧主義が反映された輝かしく壮大な物語を形作るのは、粒の荒い轟音とジェームス・イハのひねくれたギターサウンド、素人にも凄さが伝わるジミー・チェンバレンのテクニカルなドラミング。彼らが形成する、もはやスマパン以外の何物でもないサウンドは、同世代のグランジ・オルタナティヴバンドとは頭一つ抜けた独特の世界観を構築している。様々なバンドが独自の音楽を追及して人気を博していた90年代において、スマパンはその時代を象徴する存在であったと言えるだろう。

本作はなんといってもそれぞれの楽曲がほぼ完璧に近い内容で、@〜Hあたりはもはや名曲のオンパレード。それぞれが高い人気を誇る楽曲のためか、もはやベストに近い作品。最初と最後の巻き込むようなドラミングがアルバムの勢いを盛りたてる代表曲@で始まり、それに続けとばかりに緩急の付いた個性的な名曲が押し寄せてくる。重量感たっぷりのAや、突っ走りながらも起伏の激しい展開が興奮を呼ぶGなどは特に刺々しい上に攻撃的だが、オーケストラのように壮大なサウンドが非常に感動的なEと、スロウテンポの名バラードHは涙なしには聴くことはできない。極めつけはボーナストラックMのかっこよさ。彼らの表現の幅がとても大きいことを実感できる。

そしてこの作品をさらにスケールアップさせてドラマティックな世界にしたのが、最高傑作である次作なわけだが、この「Siamese Dream」も引けを取らない人気と完成度であることは間違いない。今後の音楽性の変化を考慮すると、スマパンの中で最も聴きやすいのはこの作品だと思うので、スマパンに興味を持った方はこの作品から手に取るといいと思う。
Mellon Collie and the Infinite Sadness -メロンコリーそして終わりのない悲しみ-
Mellon Collie and the Infinite Sadness
Dawn to Dusk
1.Mellon Collie and the Infinite Sadness
2.Tonight, Tonight
3.Jellybelly
4.Zero
5.Here is No Why
6.Bullet With Butterfly Wings
7.To Forgive
8.An Ode to No One
9.Love
10.Cupid De Locke
11.Galapogos
12.Muzzle
13.Porcelina of The Vast Oceans
14.Take Me Down
Twilight To Starlight
1.Where Boys Fear to Tread
2.Bodies
3.Thirty-Three
4.In the Arms of Sleep
5.1979
6.Tales of a Scorched Earth
7.Thru the Eyes of Ruby
8.Stumbleine
9.X.Y.U.
10.We Only Come Out At Night
11.Beautiful
12.Lily(My One and Only)
13.By Starlight
14.Farewell And Goodnight
95年発表
最高傑作と謳われ、枚数的にも最も多い売上げを記録した3rdアルバム。2ndよりはるかにメロディーセンスが増している。二枚だからこそできる物語づくり。ほんとにいろんな種類の曲がある。

スマパンの中でも個人的に五本の指に入る名曲(D1)Bは轟音ギターの代表格。それでいてサビはとてもキャッチーで一回聴いてハマってしまった。(D2)Aのギターリフもかっこいい。もちろんギターリフがかっこいい曲は他にもたくさんあるので全部聴いてほしい。両アルバムとも後半にすばらしいメロディーで構成されたバラード曲があり、アコギ一本で聞かせる曲、儚いピアノの旋律、通して聴いていくうちに涙が出てきそうになる。(D2)Mのエンディングを告げるようなピアノがホントに綺麗。このアルバムを通して聴けば、素晴らしい世界があなたの目の前に現れるはず。
Adore
Adore
1.To Sheila
2.Ava Adore
3.Perfect
4.Daphne Descends
5.Once Upon a Time
6.Tear
7.Crestfallen
8.Appels + Oranjes
9.Pug
10.The Tale of Dusty and Pistol Pete
11.Annie-Dog
12.Shame
13.Behold! The Night Mare
14.For Martha
15.Blank Page
16.Once in a While *
17.17
98年発表
Smashing Pumpkinsの4thアルバム。前作は内容もさることながら、世界で1000万枚を越える大ヒットを記録。バンドはたちまちオルタナティヴロックの頂点に君臨することとなった。しかしその栄光とは裏腹に、バンド内ではジミーチェンバレン(Dr)がドラッグを理由に解雇されるなど問題は膨らむばかり。ついにはドラマー不在のまま本作は制作されていき、現在もしばしば問題作扱いされている「アドア」はリリースされたのである。

今回は打ち込みによるサウンドを主体としており、粒の粗いパワフルなギターサウンドはポイント的にしか使われていない。当時のバンド内の雰囲気や、ビリーのニューウェイブ思考が反映されていると言えるが、それにしても元気が無い。夜の公園のベンチで街灯にじっと照らされているような寂しさを湛えており、とても大人しい。今までにも落ち着いた楽曲というのは沢山あったが、今回の作品に関してはいささか鬱の雰囲気が強い。ジミーが不在でテクニカルなドラムがお預け、ということもあり、アグレッシブさはさらに影を潜める。

しかしバンドにとってこの時期は、余りある独創性を発揮するには良い機会だったのかもしれない。アコギやピアノの旋律一つをとっても他のバンドとは違う世界観を出来上がっており、個人的にも今までに見えなかった彼らの魅力というものを再認識させられた作品である。しかしファンにとっては、内省的なサウンドだけではなく、アグレッシブなサウンドも期待していたというのが本音。この作品は賛否両論となってしまった(因みに日本ではアドアが最も売れたという)。

個人的に「轟音ギター」と「ジミーのドラム」というのは、スマパンを形成するための重要な柱であって、絶対に欠けてはならないものだと思っている。そのため問題作と言われていることについては納得せざる終えなかった。因みにビリーはこの作品について「自信作」と語っていただけに、散々な評価に相当ショックを受けたとか…。
MACHINA / The Machines of God
MACHINA / The Machines of God
1.The Everlasting Gaze
2.Raindrops + Sunshowers
3.Stand Inside Your Love
4.I of the Mourning
5.The Sacred and Profane
6.Try, Try, Try
7.Heavy Metal Machine
8.This Time
9.The Imploding Voice
10.Glass And the Ghost Children
11.Wound
12.The Crying Tree of Mercury
13.Speed Kills *
14.Age of Innocence
15.With Every Light
16.Blue Skies Bring Tears
00年発表
Smashing Pumpkinsの5thアルバム。前作で不参加だったドラマーのジミーが復帰したことに伴い、全盛期の荒々しいロックを意識した作品に仕上がっており、前作に続いてまたしても作風を大きくシフトチェンジすることとなった。同時にオリジナルメンバーでベースのダーシーが、ジミーのドラマ加入を快く思わず脱退。その後任として、元Holeのメリッサが加入することになる。

ジミー・チェンバレンのドラムが復活し、2ndや3rd程ではないが轟音ギターも蘇り、共に水を得た魚のように曲の中を駆け回る。特に@とFでは全盛期の凄味の片鱗をまざまざと見せつけられ、圧倒される、とても重層で攻撃的な楽曲。しかしそれ以上に印象的なのは、いつにも増して情緒的な雰囲気。胸を締め付けられるような寂しさがアルバム全体を支配しているようで、とても苦しい。因みに本作は解散を前提に作られたらしく、それが影響しているのかもしれない。とはいえ、星空を眺めながら涙しているような悲しい雰囲気は、壮大な物語を美しく表現してきた今までの曲とはやや異なる気がする。加えて強い意志を感じさせる重たいサウンドとビリーの泣くような声も相まって、感情を大きく揺さぶられるのは間違いない。10分近くにも及ぶ大曲Iは"壮大"と言うよりは、暗く深い世界に嵌っていく様子を表現しているかのようで、中盤はちょっと不気味。

過去作に比べると即効性は弱いと思われ、聴くほどに魅力を感じるタイプの作品と言える。他にもメロディの美しさとギターサウンドの荒々しさとの対比が良い具合に重なっており、攻撃的なサウンドに回帰したとはいえ、アルバムの雰囲気も相まってとても優しいサウンドが構築されている。振り返ると、この情緒さは前作の作風から大いに影響を受けているのだと感じたため、ズバリ本作は、スマパンの集大成と呼ぶにふさわしいアルバムであると言えよう。