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 女優として言わずと知れた存在の彼女が、97年に「明日、春が来たら」で歌手デビューを果たす。その美しい歌声で、シンガーとしても注目され、より魅力的な存在となっている。

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1997
空の鏡 1st
1998
アイノトビラ 2nd
2000
いつか、桜の雨に… 3rd
2001
a piece of life 4th
2003
home grown 5th
2003
harvest songs 6th
2006
僕らがいた 7th
2007
Cherish You 8th
2009
Time for music 9th

いつか、桜の雨に…
1.いつか、桜の雨に…
2.The Shooting Star
3.エール
4.夏の記憶
5.月のダンス
6.days
7.your birthday ‐kame kame everybody
8.真夜中のギター
9.end roll
10.夕焼けワルツ
11.夢のしずく
12.桜の雨、いつか
00年発表
 ヒット曲「桜の雨、いつか」を収録した、松たか子の3rdアルバム。他の作品同様、彼女の優しい歌声を活かした穏やかな楽曲で構成され、松たか子の透明感のある雰囲気がとても良く表現されている作品。彼女の声は、聴き手に微笑みかけているかのような優しさを持っており、ピュアな気持ちが心の奥から湧いてくるかのよう。思うに、こういう歌声は、暖かくなり始めた初春が似合う。アルバムタイトルからもそれを感じられる。桜の花びらが舞い、春風が雲を押し流していくような、そんな情景を想い起こさせる。

 しかし歌詞を覗いてみると、憂いを含んだもの多く、ぽっかり空いた心の隙間に入り込むように響いてくる。聴いていると寂しさが込み上げてくるが、穏やかで優しい雰囲気が光のように射し込んでくるため、最終的には、顔をほころばせて歌う彼女の姿が想像できるだろう。

 寂しさを持ちつつ、初春を感じさせ、穏やかな気持ちになるという意味では「桜の雨、いつか」はまさに本作を象徴している。桜の木を見上げながら過去と決別し、新たな一歩を踏み出すような、心地良い名曲だ。隠れた名曲「夏の記憶」も素晴らしく、アルバム全体を通して"春" "新生活"のイメージが顕著に現れた本作。桜舞い散る季節に是非とも耳に流れこんできてほしい音楽である。