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 92年にデビューし、ニ枚のアルバムをリリースした後、96年に解散してしまったバンド。耳を劈くサイケデリックなギターノイズと、力強くて手堅い演奏がカッコいいロックバンドなのだが、その存在はあまり知られていない。しかし近年は、そのクールでノイジーなサウンドにより、シューゲイザーバンドとして名前が上がることも多くなった。

 なにより、ケビン・シールズの弟ジミ・シールズが、1stアルバムに参加していたことでも知られている。

Discography

1993
Shoulder Voices 1st
1996
Horsedrawn Wishes 2nd
Horsedrawn Wishes
1.Swing Boat Yawning
2.Cradle Burns
3.One Thousand Couples
4.Swab The Temples
5.Speed To My Side
6.All Mornings Break
7.Man Under Glass
8.Shimmer Son Like a Star
9.Angela Starling
10.Ribbon Fat
11.Thirsty European
12.Bell Jars Away
96年発表
 ジミ・シールズが脱退した後に製作された2ndアルバム。やはり最初に耳に残るのはキリキリと悲鳴をあげるようなギターノイズ。目眩を起こさせるほどにサイケデリックなサウンドは、ガリガリと岩を削るかのように荒々しく、そのインパクトは絶大。しかしこのアルバムは、インパクト勝負で終わるような作品ではなく、技巧を凝らした個性的なサウンドで魅せる、ノイズロックの名作かもしれない。

 というのもコミカルな音色を組み込んだり、センスある曲展開をみせたりと、パッと出のバンドでは出来ないいぶし銀のサウンドを作り上げているからだ。良く練り上げられた作品だと感じ、積極的に取り入れられた風変わりなメロディだけでも、彼らのサウンドへのこだわりも伝わってくる。そして、個性的ながらも完成された楽曲群は、聴くごとに良さ・面白さを実感できる。

 ただ、ノイズギターのインパクトに惚れた人にとっては、コミカルなサウンドがかえってダサく感じられたり、ごった煮のような印象を与えてしまうのは仕方ないかもしれない。なだれ込むようなドラミングも手伝い、確かに迫力のあるサウンドで聴かせる作品なのだが、そのかっこ良さだけを求めて聴くと、違和感を感じる作品だと思う。

 刺々しいサウンドと緩〜い雰囲気の対比。そしてシューゲイザー譲りの耽美な音色も織り交ぜ、一曲の中で幅広い音楽性を体現。それが結構なインディロック臭を醸し出していて面白い。彼らは、同時期のシューゲイザーの枠に括られるのとはちょっと違う、完全に枝分かれした存在だったのではと、この作品を聞いて感じた。