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インディ時代から着実に人気と実力をつけていき、メジャーデビュー後もヴィジュアル系として圧倒的人気を誇っていたバンド。刺々しくゴシックな描写を得意とする彼らのサウンドは、同時期に人気を博していたDir en Greyと比較されることもしばしば。

メジャーデビュー後のコンセプトアルバム三作など、クオリティの高い作品を多数リリースしてきた彼らですが、2006年に解散。現在はキリト、TAKEO、KOHTAの三人がAngeloを結成し、活動を続けています。

Discography

1995
気狂いピエロ indies 1st
1996
パンドラの匣 indies 2nd
1997
CELLULOID indies 3rd
1999
FINALE 1st
2000
PRIVATE ENEMY 2nd
2002
HEAVEN-The Customized Land Scape- 3rd
2003
ID ATTACK 4th
2004
FREEZE 5th
FINALE
FINALE
1.FINALE
2.ハルカ…
3.CREATIVE MASTER
4.カナタへ…
5.ECO=System
6.MAGNET HOLIC
7.MAD SKY -鋼鉄の救世主-
8.SACRED
9.ICAROSS
10.ラストレター
11.クリアスカイ
12.CHILD
13.Newborn Baby
99年発表
Pierrotメジャーデビューアルバム。本作から3rdの「HEAVEN」までがコンセプトアルバムとなっており繋がっている。コンセプトアルバムということでアルバムごとにテーマがあり、FINALEでは「地上界」。Kでようやく誕生し、それが2ndでモンスターになっていく…という風にストーリは進んでいく。

曲構成や音作りが快心の出来かと思われる。さらにダークな曲や光の射してくる曲など、とてもバラエティ豊富。このアルバムでは、ギターソロが冴えてる。嘆きのギターソロや疾走するようなソロなどこれまた豊富。テーマが地上界ということも関係してるのだろうか。

余談だが、初めて聴いたとき「グダグダな曲ばっかだなぁ」と感じていてほとんど聴いてなかったが、最近久々に手に取って聴いてみたら…いい曲ばっかりで感動したのを覚えている。こんなにも一曲一曲とても音作りが細かかったんだ、と今更気づかされた。
PRIVATE ENEMY
PRIVATE ENEMY
1.THE FIRST CRY IN HANDES(GUILTY)
2.CREATURE
3.ENEMY
4.MASS GAME
5.AGITATOR
6.不謹慎な恋
7.Waltz
8.パウダースノウ
9.ゲルニカ
10.FOLLOWER
11.Analyze Chat 「FREAKS」
12.FREAKS
13.ATENA
14.神経がワレル暑い夜
15.THE LAST CRY IN HANDES(NOT GUILTY)
00年発表
Pierrotの2ndアルバム。このアルバムのコンセプトは地獄ということで、絶望感や空虚感などが色濃く現れており、それを激しく重いサウンドに乗せて吐き出している。

Bは私の中では名曲。激しいサウンドがひっきりなしに続く割には聴きやすくておススメ。ひたすら重いC。Dはリズムがとりやすくてのりのりで聴ける。疾走感のあるFとHは暴力的な音だけではなく綺麗なメロディーや静を駆使していて、これも聴きやすい。Jは少年犯罪の増加についてワイドショーのように会話しているトラック。そしてLあたりから3rd「HEAVEN」とつながってくるような曲調に変化してきます。おそらくこの作品がピエロの中で最も激しく重い作品である。
HEAVEN -The Customized Land Scape-
HEAVEN -The Customized Land Scape-
1.HEAVEN
2.新月
3.DRAMATIC NEO ANIVERSARY
4.HOME SICK
5.LOVE & PEACE
6.COCOON
7.BELIEVER
8.AUTOMATION AIR
9.壊れていくこの世界で
10.OVER DOSE
11.REBIRTH DAY
12.BIRTH DAY
02年発表
Pierrotのメジャー3rdアルバム。1st(地上界)、2nd(地獄)をテーマに作られてきたストーリーの最終章(天国)がこの作品。そのコンセプトから察しの通り、前作まで続いてきた絶望にもがく様子からは一変。以前までの暗さを吹っ飛ばすかのようなパワフルなサウンドで、強い意志を誇示している。加えて本作から本格的にサイバーな世界観が構築され始めということで、独特なPierrotサウンドの集合知、と言っても過言ではない作品となっている。

今までのゴシックな作品と比べると大きく印象が異なり、本作は解放感に満ちたサウンドがとても清々しい。それは地獄(前作)から飛び出してきた、彼らなりの凱歌に聴こえてくるほど。サウンド面においてもSEをふんだんに盛り込んで作られた、無機質で機械的な音もまた印象的で、この辺りに進化を感じさせる。シングルBはデジタルチックな世界観とバンドサウンドの迫力がマッチした、アルバムを象徴する一曲。@Eは新天地で新鮮な空気をたっぷり吸いこんだような曲に仕上がっており、特にシングルEはジャケットの純白なイメージに沿ったような名曲。他にもGHなどの上品なミディアムナンバーがある中、やはりバンド独自の狂気の部分は随所に表れている。

特に破壊力抜群のDIはいずれもベストナンバーと言えるほどのカッコ良さだが、これは神聖な場所で暴れまわっているような背徳感が癖になるのかもしれない。加えてCやFなども、アルバムの雰囲気を汲みながらも独特の狂気を演出。天国と地獄、表裏一体。まさしく道化師ピエロのような趣を残す作品となった。因みにこの作品が個人的にバンドの最高傑作だと思っています。
ID ATTACK
ID ATTACK
1.a pill
2.PSYCHEDELIC LOVER
3.DAYBREAK
4.Upper flower
5.ネオグロテスク
6.革命の黒い翼
7.ACID RAIN
8.HILL -幻覚の雪-
9.GOD BLESS ×me××××
10.MORNING JUNKEY
11.薔薇色の世界
12.ANSWER
03年発表
Pierrotのメジャー4thアルバム。1stから前作までコンセプトを元にアルバムを制作してきたが、今回はアルバムをイメージする明確なコンセプトは無い。相変わらず歌詞は過激でサウンドは刺激的だが、全体に渡ってポップな楽曲で構成されたアルバムのため、とても聴きやすい。もっと言えばとてもシンプルで、全体を通してパンク調の走っているの雰囲気が出ていることも馴染み易さの一因となっているのだろう。

アルバム通して終始攻撃的なサウンドで攻め続けるので彼らの表面的なカッコよさを味わうにはもってこいの作品と言える。もちろん彼らのことだから、歌詞やサウンドに隠されたテーマを埋め込んでいるとは思うが・・・。冒頭の二曲から今までにないほどのポップな楽曲で始まるが、BやD辺りから暴力的なサウンドでたちまち独特のダークな世界に引き込まれる。今まで以上に疾走し迫力を増しているバンドサウンドからは、皮膚を切りつけられるような刺々しい雰囲気を感じ取れるが、それはまるで前作のバイオレンスな部分のみを引き継いでいるかのようで、バンドの勢いを止めまいというメンバーの意思が伝わってくるかのようだった。一方前作のCOCOONに続く名曲Gも登場し、こちらは美しい音色と世界を作り上げている。

上記だけでは単調で面白みのないアルバムをイメージしてしまうかもしれないが、電脳世界を表現する電子音や幻想的なGを筆頭に、音の使い方のセンスが個人的にはツボだったため、お気に入りの一枚。もちろん、単調さを理由にすぐに飽られそうという想像もできるが・・・。それでも良く言えばシンプルかつエネルギッシュなので、Pierrotを初めて聴くという方にお勧めしたい。それにしてもジャケットがカッコいい。