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圧倒的人気を獲得しても尚、勢い、進化を止めない恐ろしいバンド、Dir en grey。ヴィジュアル界…いや、邦楽の頂点に立っているといってもよいのでは?

デビュー時から彼らは弾(はじ)けていた。デビュー曲(三曲同時リリースのひとつ)の「残-ZAN-」 を聴いてもらえれば分かるだろうが、異常なくらい狂気に満ちた曲である。奇妙な笑い声で始まり、曲中は叫びまくり、疾走しまくり。Mステでもこの曲を演奏して苦情が殺到したほどだ。この曲はまさにDir en greyという「プロジェクト」を始めるにあたっての選手宣誓ソングといえる。しかし、これから彼らはさらに変化、進化を繰り返していく。オカルト色が強く狂気な名作「鬼葬」、コアなヘヴィロック路線に足を踏み入れた「Vulgar」、ややヘヴィさを押さえストーリー性が増し、ドラマティックな曲が光るWithering to death.」(私の独断と偏見で書きました)

そして、京のヴォーカルによる、とてつもない感情表現は聴くものすべてを圧倒する。叫び、低いデスボイス、ファルセットの聴いた声、嘆き声などを、曲に応じて巧みに使い分けている(本人が意識して出しているかは分からないが)。曲に入り込んでる人ってこういう人のことなんだな。

Discography

1997
MISSA indies
1999
GAUZE 1st
2000
MACABRE 2nd
2001
改 -KAI- remix
2002
鬼葬 3rd
2002
six Ugly mini
2003
Vulgar 4th
2005
Withering to death. 5th
2007
THE MARROW OF A BONE 6th

鬼葬
鬼葬
1.鬼眼-kigan-
2.ZOMBOID
3.24個シリンダー
4.FILTH
5.Bottom of the death valley
6.embryo
7.「深葬」
8.逆上堪能ケロイドミルク
9.The Domestic Fucker Family
10.undecided
11.蟲-mushi-
12.「芯葬」
13.JESSICA
14.鴉-karasu-
15.ピンクキラー
16.「神葬」
02年発表
このあたりからヴィジュアル系の殻を破り始めた彼ら。表向きを見ればオカルト、グロテスク、狂気な曲が目立つが、ヘヴィロック調な曲、ダークで静かな曲、インストなどバラエティ豊か。

このダークな作品の中で異色なナンバーがL。非常にポップで聴きやすく、こういう曲がここにポンと置いてあると、聴きつかれた(良い意味で)リスナーを安心させることができるので意外(?)と名曲である。狂気の塊Nは超高速なナンバーで、すごすぎて笑ってしまった。世の中のタブーな部分を音として聴かされてるような気分なので、おそらく、このアルバムを聴いた後は神経がぼろぼろになっていることだろう…

聴き始めの頃、非常に完成度の高い曲、内容、(あと狂気)のこの作品に戸惑っていた。なのでまるで彼らに遊ばれている感じがしていた。そして現在も、もしかしたらまだ本当のよさに気づいていないのかも。と言うわけで、聴き込み甲斐のある名作である。
Vulgar
Vulgar
1.audience Killer Loop
2.The V D Empire
3.Increase Blue
4.蝕紅
5.砂上の唄
6.Red...[em]
7.明日なき幸福、呼笑亡き明日
8.Marmalade Chainsaw
9.かすみ
10.A to the Core
11.Drain Away
12.New Age Culture
13.Obscure
14.Child Prey
15.Amber
03年発表
鬼葬の次に発表されたアルバム。傑作に上げる人も多い名作でもある。今までの核はそのままに、とてもヘヴィになっており、どの曲もぶっといサウンドで構成されています。曲の内容はと言うと、まさにジャケットの色のような感じ。

京の叫びからスタートする@。この悲痛の叫びを聞くと胸が痛くなる。ラップ調(?)で歌い上げているA、太いサウンドで疾走するBと、いきなりアルバムのイメージ通り暴れ回る。ギターの歪みを抑え、丁寧に歌い上げるDや、他の曲とは変わった雰囲気を放つミディアムナンバーHなど異彩を放つ曲が魅力的。Dir en greyの曲の中で一番狂ってると言っても過言ではないL、彼らの曲の中で一番好きなMも収録。

激しさだけを深追いせず、随所に出てくるメロディ、曲の展開、構成にも注目してほしい。彼らがどんなにしっかり音作りをしているかがわかる。彼らの最高傑作!
Withering to death.
Withering to death.
1.Merciless Cult
2.C
3.朔-saku-
4.孤独に死す、故に孤独。
5.愛しさは腐敗につき
6.Jesus Christ R'N R
7.GARBAGE
8.Machiavellism
9.Dead Tree
10.THE FINAL
11.Beautiful Dirt
12.Spilled Milk
13.悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱
14.鼓動
05年発表
前作のVulgarでヘヴィな路線を走ったDir en grey。その前作を引き継ぎながらもさらなる成長を見せてくれたのがこのアルバムである。

@やB、Iなど、個人的な名曲がたくさん出来た。Bはオープニングから絶叫し、ひたすら突き進むが、サビに入った瞬間、ファルセットを駆使したとてもメロディアスな曲調に変化。かっこよすぎである。邦楽の名曲となるであろう。「攻撃的」「艶やか」 このバランスが、あのVulgarよりも良くなった。激しさだけを求めず、美しさも(前作以上に)求めていたのだろう。
The Marrow of a Bone
The Marrow of a Bone
1.Conceived Sorrow
2.Lie Buried with a Vengeance
3.Fatal Believer
4.Agitated Screams of Maggots
5.Grief
6.凌辱の雨
7.Disabled Complexes
8.Rotting Root
9.艶かしき安息、躊躇いに微笑み
10.Pledge
11.Repetition of Hatred
12.Deeper Vileness
13.Clever Sleazoid
07年発表
彼らの暴力的な部分がとても分かりやすく感じ取れる作品。本作では、前作までにあった繊細な音色やメロディは影を潜めることとなり、ひたすら続く攻撃的で暴力的なサウンドがとても印象的。それは、海外のフェスに参戦したことも影響しているのだろうか。重々しく絶望的な世界がリスナーをつつむ。ただほとんどが激しい楽曲で占められているため、聴く人によっては単調に感じたりして、なかなかアルバムの本質を掴みにくい作品。Vulgarが好きなリスナーにもとっつきにくいかもしれない。コレだけ激しいサウンドを続けて聴くのは、慣れないうちは疲れる。

ただそんな中、既存のリスナーを安心させたのはHIだろう。アルバムのイメージとかけ離れたこの二曲は、とても繊細でメロディアスな楽曲。他にも、ドラムやベースの演奏に力強さが加わったことにより、彼らのパワフルさを余すところなく味わえたのはかなり良かった。Eでは強調されたベースとドラムがかなり良い味を出している。