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ギターなどの楽器を担当するディーンと、妖艶な女性ヴォーカリスト、トニを携えた二人組。

Curveはシューゲイザーにカテゴライズされていたバンドの一つですが、二人の奏でるサウンドは他のバンドと比べると、より官能的で攻撃的な感じです。ダンスビートやメタリックな轟音ギターなどの激しいバックのサウンドの中を、トニ嬢が隙間をぬうようにボソボソっと歌い上げていて、とても怪しい雰囲気を作り上げています。90年代中盤に差し掛かるとインダストリアルに匹敵するような過激なサウンドを主体にしていったようですが、サウンドの基本は変わっていません。因みにブームに乗って出てきたバンドであるにかかわらず、2000年代まで長く活動していた数少ないバンドです。

Curveのサウンドはとても先進的で、今聴いても古さを全く感じません。彼らは出てくる時代を間違えたのかもしれません。今だからこそ評価されるべきアーティストです。 余談ですが、L'Arc-en-CielのyukihiroはCurve好きを公言しており、彼がヴォーカルを勤めるバンドacid androidの作品には、トニがヴォーカルで参加した曲もあるそうです。

Discography

1992
Doppelganper 1st
1992
Pubic Fruit rare tracks
1993
Cuckoo 2nd
1998
Come Clean 3rd
2001
Gift 4th
2002
The New Adventures of Curve 5th

Doppelganger
Doppelganger
1.Already Yours
2.Horror Head
3.Wish You Dead
4.Doppelganger
5.Lillies Dying
6.Ice That Melts The Tips
7.Split Into Fractions
8.Think & Act
9.Fait Accompli
10.Sandpit
11.Clipped
92年発表
Curveの1stアルバム。おそらく、彼らの作品でもっともシューゲイズしているのでは、思わせる作品。これ以降のアルバムはメタル要素が増していくので、シューゲイザーとしてのCurveを知りたい場合はこのアルバムから入ると良いのでは。ダンスビートとメタリックな轟音のインパクトが強いが、その後に聴こえてくるトニの囁くようなヴォーカルも強い存在感を放っている。低音でまったりと聴かせたりして、まるで呪文を唱えている魔女のような風格を放っている。

確かに甘いヴォーカルや洪水の如きサウンドなど、シューゲイザーの片鱗は十分見えているが、聴いた後に「破壊」という言葉が頭に出てくるのが不思議である。他のバンドの轟音とはまた違く、音の洪水でリスナーを力で押し流そうとしているかのようである。この後彼らがインダストリアルに移行するのも十分納得できる。そういうことを踏まえると、Curveは他のシューゲイザーバンドとは全く違うテーマを追求していたということなのだろうか。

どの楽曲も似たサウンドで押してくるなー、と最初は感じたが、サウンドがしつこく感じず癖になるので聴く毎にはまっていける。Aは、ほぼ同じフレーズを繰り返しているだけにもかかわらず、個人的にとてもはまった曲。
Cuckoo
Cuckoo
1.Missing Link
2.Crystal
3.Men Are from Mars, Women Are from Venus
4.All of One
5.Unreadable Communication
6.Turkey Crossing
7.Superblaster
8.Left of Mother
9.Sweetest Pie
10.Cuckoo
11.On the Wheel *
12.Missing Link (Screaming Bird Mix) *
93年発表
Curveの2ndアルバム。シューゲイザー的な側面を見せたデビュー作で時代の流れに乗り、たちまち支持を得たカーブ。しかし本作では刺々しいサウンド表現が目立つようになり、以降の機械化された作品へ向かう過程…、ともとれる変化をしている。柔らかく波打つ轟音ギターが印象的だった前作と比べると、攻撃的な轟音ノイズが目立つ。それは恍惚を生み出すノイズとは明らかに違う、まるで相手を切りつけるような轟音。

とは言うものの実際のところ、何も考えずに聴くと前作とはあまり変わっていない。轟音ギターノイズのインパクトは相変わらずだし、トニ嬢の囁くような歌声も前作同様に美しく、カッコいい。しかし本作は何よりも、地面の下で蠢くような怪しい雰囲気がとても印象に残っている。路地裏で寂しげに響くようなサウンドが辺りを闇で覆い、ギターのノイズが低空をゆらゆらと漂う。やがてノイズは徐々に分厚さを増していき、その音のパワーにリスナーは圧倒されていく、といった具合である。こういう風に考えると、本作は前作に比べ、サウンドにに起伏の激しさを感じる。そのことがギターノイズの刺々しさをより倍増させているのかもしれない。

重低音の利いたビートは心臓を打つように力強く、他のサウンドと合わせるとまるで冷徹な表情で殴られているような感覚に陥る。それは冒頭の@をはじめ、ボートラのJなどアルバムのさまざま箇所にて散見される。これが後のカーブのサウンドを象る部分となっていくのである。他にも、官能的な雰囲気が際立つIのような曲も、バンドの特色が表すものとして忘れてはならない。