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   "ラジオスターの悲劇"の大ヒットで知られる、ジェフ・ダウンズとトレヴァー・ホーンによるテクノポップバンド。後にYESに吸収される形で活動を続けるも、バンドは解散。それに伴いThe Bugglesを再始動させて2ndアルバムをリリースするも、こちらもあえなく活動停止となってしまう。

 MTVが開局して最初に流されたPVが"ラジオスターの悲劇"というのは有名。ラジオから映像へと音楽の表現方法が移りゆくことを示唆した、時代を象徴する一曲です。

 04年にはチャリティーコンサート限定で再結成。自身のヒット曲を数曲披露し、会場を大いにわかせました。

Discography

1980
The Age of Plastic~プラスティックの中の未来 1st
1981
Adventures In Modern Recording~モダン・レコーディングの冒険 2nd

The Age of Plastic
The Age of Plastic
1.Living in the Plastic Age
2.Video Killed the Radio Star
3.Kid Dynamo
4.I Love You (Miss Robot)
5.Clean, Clean
6.
Elstree
7.Astroboy (And the Proles on Parade)
8.Johnny on the Monorail
80年発表
 The Bugglesの1stアルバム。同国で起こっていたパンク・ムーブメントは何のその。YESを尊敬して止まない二人は、バンドサウンドとエレクトロニクスがぶつかり合うようなテクノポップをこの作品で作り上げている。その中で傑作と言えるのがAな訳だが、今では80年代を代表する曲とも言われる歴史的名曲だ。"ラジオスターの居場所を奪った"と歌うこの曲は、まさに時代の転換期であるニューウェイブ幕開けを表すにふさわしいと言えるのではないだろうか。そして、近未来からやってきたような彼らの存在感も・・・。大きなメガネをかけて演奏するトレヴァー・ホーンは、科学者のような出で立ちをしていて、なかなかの存在感を示している。

 シンセサイザーの音や随所にかかるエフェクト、アンサンブルから細かな効果音まで、革新的なサウンドが存分に含まれた楽曲たち。そこからは当時の音楽シーンを近未来へと導いていくような力を感じる。以前からプログレバンドが革新的すぎるほどのサウンドを奏でていたけど、Bugglesはそれをポップスに消化したような印象を受けた。それこそ、大げさなくらい電子音を用いて。おかげでこれほど近未来感を出している作品も珍しい、と言えるほどの作品となっている。実際、当時の人が思い描いていた21世紀のイメージは、Bugglesのこれらのサウンドに集約されていると言っても良いのではないだろうか。当時を知らない私が言うのもアレだけど。

 Aは当然だが、ポップを極めたような曲が全編に渡って演奏され、どれもこれもポップセンスが異常に高くてびっくり。巧みに使いこなすシンセのサウンドや女性コーラスには心が暖かくなり、胸が熱くなるばかりで、おそらく幸福感に満ちた作品なのだろう。そして、Fのastroboyとは勿論"鉄腕アトム"のこと。こういった単語が出てくるのもまた、バンドを彩っている魅力の一つでもある。テクノポップの魅力が詰まった、時代の温もりを感じさせる一枚。