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 若き天才Michael Feerick(マイケル・フィーリック、Vo/G)を中心とするバンド。

 現在、シーンの最前線に立っているAPOFは、マイブラ直系の轟音ギターノイズを武器にパワフルで幻想的なサウンドを鳴らし、多くのファンのつぼを貫いている。…がしかし、マイケルは1st発表時点でマイブラはおろか、シューゲイザーの存在も知らなかった。年齢的なことを考えれば無理もないが、彼のルーツであるオルタナティブ・グランジロックやプログレッシブロックを内包させた結果、このようなサウンドになったとか。その後マイブラの作品を聴いたマイケルは甚く感動し、それを踏まえた上で制作された2nd『Out of the Angeles』では、より洗練されたシューゲイザーサウンドを構築。現在、シーンで最も注目すべきバンドです。

Discography

2005
Amusement Parks on Fire 1st
2006
Out of the Angeles 2nd
Amusement Parks on Fire
1.23 Jewels
2.Venus In Cancer
3.Eighty Eight
4.Wiper
5.Vensosa
6.Asphalt
7.Smokescreen
8.The Ramones Book
9.Local Boy Makes God
04年発表
 APOFの1stアルバム。今や大所帯のバンドとなったAPOFも、元々はマイケルフィーリックによる単独ユニットとしてスタートした。このデビューアルバム制作も、彼一人の手によるもの。それだけでも凄いが、彼はこの作品リリース時点で弱冠18歳。すべての楽器を一人で弾きこなしたうえ、培ってきた音楽センスを詰め込んで生まれたこのアルバムに、彼の才能を感じずにはいられない。後の作品と比べると洗練されていない感じはあるが、これからの躍進を大いに期待させる作品となっている。まるでこれから磨かれていくダイヤの原石のように。

 上記の逸話だけでも大いに関心を持たされるアルバムだが、驚くべきは、偶発的に轟音シューゲイザーサウンドを作り上げたことではないだろうか。それも、ほぼど真ん中の。・・・聞けばマイケルは、本作リリース当時、マイブラの存在をまだ知らなかったという。しかし本作を聴いた人々が口をそろえて語るのは"マイブラのサウンドを受け継いだようなシューゲイザーアルバム"といった感想。ギターノイズを何層にも重ねて作られた洪水のようなサウンドは、まさしくマイブラ直系である。近年、炭酸が弾けるかのような優しいギターノイズを奏でるシューゲイザーバンドが増える中、際立って迫力のあるギターサウンドを奏でているのがわかる。

  静けさ漂うインスト1#「23 Jewels」の後、2#「Venus in Cancer」、3#「Eighty Eight」と轟音を駆使した名曲が続くが、この荒れ狂うギターノイズはまるで台風のようである。特に本作で好きなのは、うごめくような静かなギターサウンドで始まり、徐々にサウンドに厚みが増していく#4「Wiper」。焦らされるかのような展開がたまらない。また8分を超える大曲でもあり、聴き応えは抜群。

  マイケルがプログレを好んで聴いていたのが影響しているのかもしれないが、4#「Wiper」に代表されるような起伏ある展開をみせる楽曲が多く、ポストロックに分類されることもある。この物語性のある大曲主義は、轟音ノイズギターサウンドと共に今後の作品にも受け継がれ、このバンドの特徴となっていくのだが、その基盤をこの時点で創り上げたことを評価したい。
Out of the Angeles
Out of the Angels
1.Out of the Angeles
2.A Star Is Born
3.At Last the Night
4.In Flight
5.To the Shade
6.So Mote It Be
7.Blackout
8.Await Lightning
9.No Lite No Sound
10.Cut to Future Shock
06年発表
 APOFの2ndアルバム。ヴォーカルのマイケルが1st発表時までシューゲイザーの存在を知らなかったというのはやはり驚きだ。にもかかわらず彼らの音楽には、シューゲイザーの息吹がかかっていることがしっかり認識できるほどの魅力が備わっていたのだから、その潜在能力は計り知れない。それだけに心境が変化した上で制作された本作と前作を聴き比べてレビューしたかったのだが、前作を未聴のまま書かせて頂く。

 オープニングを飾る@は、冒頭で星を眺めているような恍惚なメロディを聴かせ、後に眩暈にも似たフィードバックノイズと分厚いギターサウンドの波が押し寄せてくる、インパクト抜群の一曲。このアルバムを象徴するサウンドであるともいえる。嵐の如く吹き荒れるサウンドからは、マイケルの力の抜けた美声がのぞき、美しくコーラスもやってのけている。その後もパワフルでメランコリックな曲が続くが、BやEのように静謐でアコースティックなトラックも要所に配置されているため、本作は極端な二面性をも持っていると言える。その中でもアルバムは、一貫して"星の流れる夜空"のような雰囲気を保っており、それぞれが全体の雰囲気を壊さずにカッコよく、そして綺麗にシューゲイズしているように思う。

 轟音フィードバックノイズをお腹いっぱい堪能でき、辺りに散らばる情緒的なメロディとしっかりした歌メロ(女性コーラス)がシューゲイザーの魅力を引き出す。迫力ある音からみなぎる力強さには、多くのロックファンも取り込めそうな可能性をもはらんでいる、とても素晴らしい作品。音量を上げて聴きたくなる一枚。他の人が仰るようにマイブラ好きは必聴です。